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プライオメトリックトレーニングとは?〜ジャンプ力・瞬発力〜
こんにちは!
最近はSNSやTVなどのメディアの発達によりトレーニングの方法などは簡単に情報収集できます。
一般的な筋トレメニューなどはたくさんありますが、アスリートやスポーツする人はそれだけでは全然足りません!
そのうちの1つに瞬発力を鍛えるトレーニングがあります。どのスポーツにおいてもジャンプやダッシュ、踏み込みなどといった瞬発力は必要になります。
そしてその瞬発力を鍛えるトレーニングの方法の1つとして「プライオメトリックトレーニング」というものがあります!さらにプライオメトリックの要素をランニングやアジリティというスキルに結びつけていくのがSAQになります。
SAQについてはコチラで。今回はそんなプライオメトリックトレーニングについてご紹介します!
プライオメトリックとは
プライオメトリックエクササイズは、筋肉が最大の力を発揮するまでの時間を最短にするための活動を指します。
プライオメトリックとは、実践的には予備伸長、あるいは反動動作を用いて行われる、素早くパワフルな動作と定義されます。
プライオメトリックエクササイズの目的は、筋肉および腱にに備わる弾性要素と伸張反射の両方を利用することにより、その後に続く動作のパワーを増大させることであります。プライオメトリックスの力学と生理学
動作の機能性とスポーツ競技における成功は活動するすべての筋群の適切な機能とこれらの筋肉が力を発揮する際のスピードによって決まります。
この力とスピードの関係の定義に用いられる用語がパワーです!
プライオメトリックトレーニングを適切に実施すると、筋力とパワーの産生が改善されることが示されています。
このパワーの出力の増加は、力学的モデルと神経生理学的モデルという2つのモデルを使うことで最も適切に説明されます。プライオメトリックエクササイズの力学的モデル
力学的モデルでは、筋腱複合体における弾性エネルギーが急激なストレッチによって増大し、貯蔵されます。
この直後に短縮性筋活動が行われると、貯蔵された弾性エネルギーが放出され、発揮される力の合計が増加されるのです。
力学的モデルの多くの要素のうち、プライオメトリックエクササイズで重要な部分は直列弾性要素(SEC)です。
直列弾性要素には筋肉の要素もいくらか含まれますが、主体となるのは腱です。
伸張性筋活動で筋腱複合体が引き伸ばされると、直列弾性要素はバネのように引き伸ばされます。
引き伸ばされると、弾性エネルギーが貯蓄されます。
この伸張性筋活動の直後に短縮性筋活動が起こると、蓄積されたエネルギーが放出され、筋と腱が引き伸ばされていない本来の形状に戻る自然の働きによって直列弾性要素が発揮される力を増すことになります。
短縮性筋活動が伸張性筋活動の直後に行われなかったり、あるいは伸張性局面にかかる時間が長すぎる、必要とされる関節の可動範囲は大きすぎるといった場合には、貯蔵されたエネルギーは散逸し、熱として失われます。プライオメトリックエクササイズの神経生理学的モデル
神経生理学的モデルは、伸張反射による短縮性筋活動の増強効果を含みます。
伸張反射は筋肉を伸張させる外的刺激に対する身体の不随意的反応です。
プライオメトリックエクササイズにおける反射の要素は、主に筋紡錘の活動によって起こります。
筋紡錘は、伸張の速さと強さを感知する固有受容器で、素早い伸張を察知すると反射的に筋活動を増大させます。
プライオメトリックエクササイズの動作では、筋紡錘が素早い伸張によって刺激を受け、反射的な筋活動が生じます。
この反射的反応は主動筋の活動を増強あるいは増加させ、その結果、筋肉が発揮する力が高まるのです。
力学的モデルと同様に、筋肉の伸張の直後に短縮性筋活動が起こらなければ、伸張反射が持つ増強効果は無効となります。ストレッチ-ショートニングサイクル(SSC)
ストレッチ-ショートニングサイクルは、筋肉の直列弾性要素のエネルギー貯蔵能力と伸張反射の刺激を利用して、最短時間内で筋肉の動員を最大限に増加させることを促します。
ストレッチ-ショートニングサイクルは3つの局面に分けられます。
第1局面は、主働筋に予備負荷をかける伸張性局面です。
この局面で筋肉の直接弾性要素に弾性エネルギーが蓄積され、筋紡錘が刺激されます。
筋紡錘が伸張されると、タイプⅠa求心性神経を介して脊髄前根に信号が送られます。
イメージしやすいように走り幅跳びの例を挙げると、足の接地から身体が最も沈み込む時点までが伸張性局面となります。
第2局面は、伸張性局面と短縮性局面の間の時間であり、償却局面と呼ばれます。
これは伸張性局面終了から短縮性筋活動の開始までの時間であります。
伸張性筋活動から短縮性筋活動までの間には、時間的遅延が存在します。
その間にタイプⅠa求心性神経が、脊髄前根のα運動ニューロンにシナプス結合を介して伝達します。
その後α運動ニューロンは主働筋に振動を伝達します。
SSCにおけるこの局面は発揮されるパワーを増大させる上でおそらく最も重要であり、短く抑えられなければなりません。
この償却局面が長引けば、伸張性局面で蓄積されたエネルギーは熱として失われ、短縮性局面での筋活動は伸張反射により増強されません。
第3局面の短縮性局面では、伸張性局面と償却局面に対する身体の反応が起こります。
伸張性局面で筋肉の直列弾性要素に貯蔵されたエネルギーは、この局面における動作時の力の増強に使われるか、それでなければ熱として失われます。
この貯蔵された弾性エネルギーが加わることで、この短縮性局面では、短縮性筋活動のみによって発揮される力よりも大きな力は発生します。
これに加えて、α運動ニューロンが主働筋を刺激して反射的な短縮性金活動が生じます。
こうしたサブシステムの効率性が、プライオメトリックエクササイズの適切な実施に重要であります。まとめ
瞬発力やジャンプ力を鍛えたいというアスリートはたくさんいると思います。
そこで取り入れるべきなのがプライオメトリックトレーニングなのです。
今回はプライオメトリックというのはどういったものなのかを説明しました。
専門的な観点になりますが、知識とスキルを身につけるとよりよい効果が得られると思います!! -
コンディショニングとは??
こんにちは!
コロナウイルスの影響もありなかなか自由に出歩けない日々が続いていますね。。
そのためか2020年から世の中の健康志向が向上してきているように感じます!スポーツ業界なんかではよくコンディションやコンディショニングという言葉がありますが、健康志向が高まっている今だからこそたくさんの人にこの「コンディショニング」という意味の正しいところを理解していただきたいなと思います!
今回はそんなコンディショニングについて説明します!
コンディショニングの概念
コンディショニングとはトレーニングとの関係では「コンディショニングは、ある運動技術を高めるための体力を準備する過程であり、トレーニングは、その準備された体力を基礎にある特定の目的を持つスキルの習得を目指す過程である」とあります。
日本スポーツ協会では以下のようにコンディショニング、ならびにコンディションを定義づけています。●コンディション
「ピークオアフォーアンスの発揮に必要なすべての要因」
●コンディショニング
「ピークパフォーマンスの発揮に必要なすべての要因をある目的に向かって望ましい状況に整えること」いわゆるコンディショニングとは、身体的因子、環境的因子、心因的因子などパフォーマンスを向上させるすべての要因を加味し、なんの不安もなく競技、演技に集中し望める状態にする準備、手段といえます。
コンディショニングの目的
コンディショニングの目的は①パフォーマンスの向上、②怪我の予防の2つに集約できます。
身体・体力要素に対して総合的に実施する一般的なコンディショニングと各競技種目、特性に応じて実施する専門的コンディショニングを計画的、継続的に実施することにより、怪我をおこすことなく、目標とする競技活動で最高のパフォーマンスを発揮が可能となります。
コンディショニングは競技特性、競技者やチームの目標・戦術の確認、スケジュールなどを把握しコンディショニング方法を思考し、具体化します。
また長期、中期、短期という期間という概念をもちサポート計画を立てることも大切であります。
また同時にコンディショニング実施にけるリスクファクターについても整理しておくとよいとおもいます。コンディショニングは、あくまでも必要条件であり十分条件ではありません。
しかし競技成績は、競技力が同程度の相手との対戦であった場合にはコンディショニングの成否が勝敗、結果に大きく関係すると考えられます。
個人の記録競技においては、そのかかわる部分はさらに大きいと考えられます。
マラソンを例にとれば世界トップクラスの実力者であっても、コンディショニングがうまくいかなかった場合には記録、実力が出せないばかりか、完走すらできない場合もあります。コンディショニングの要素
コンディショニングをするための要素として、身体的因子、環境的因子、心因的因子の3つに分け考えることができます。
身体的因子
筋力、柔軟性(タイトネス、関節弛緩性)、関節不安定性、アライメント(動的、静的)、身体組成(体脂肪、除脂肪体重、体水分量、骨密度など)、神経系(バランス、神経筋協調性)、代謝系(無酸素系、解糖系、有酸素系)、技術(スキル、フォーム、動作)、免疫学的、オーバートレーニングなどがあります。
環境的因子
暑熱・寒冷環境、高所順化、時差対策、機内対策、食生活、用具、器具、施設、サーフェイス、睡眠などがあります。
心因的因子
対人関係、ストレスなど。
コンディションを崩す要因
トレーニング
競技者のコンディションを崩す最も大きな影響を及ぼすものがトレーニングです。
トレーニング量を増やしすぎた場合が多く、トレーニング量が少なすぎた場合コンディションが大きく崩れることは少ないが、トレーニング効果も大きく望めません。
トレーニング刺激に対して競技者個々の防衛体力を超えると怪我につながります。
コンディションを崩さずいかに質・量の多岐トレーニングを消化し、競技力向上に結びつけるかが大きな課題となります。ストレス
競技者のコンディションを崩す要因としてさまざまなストレスがあります。
・物理的、科学的ストレス
気温、湿度、気圧などの気象条件、大気汚染、水などがそれにあたります。
遠征先、大会期間中の諸条件を事前に確認し、対策を講じる必要があります。・生理的ストレス
スポーツ傷害、貧血などスポーツ医学的問題、睡眠不足、胃腸障害などが当たります。
日頃からの自己管理が重要な部分になります。・生物学的ストレス
ウイルス、細菌、減量、休養、時差、生活パターンがあたります。
遠征、大会など長期間の移動などによることが多いので、スケジューリング、移動中の対策、免疫機能を低下させないよう注意を払う必要があります。まとめ
なんとなくコンディションやコンディショニングという言葉を耳にしたことある人はたくさんいると思いますが、実際にどのような意味があるのか、またどのような考え方なのかは知らない人がたくさんだったと思います。
今回の内容も難しいですが、ぜひ自身の目的とするパフォーマンスやボディメイクに役立てばと思います!
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ピリオダイゼーションとは??②
こんにちは!
前回の記事でピリオダイゼーションについて説明しました。
簡単にまとめると、目的や目指す大会などに向けてピークのパフォーマンスを発揮できるようにどのタイミングでどのようなトレーニングを行うのか期分けして取り組む考え方を指します。今回はさらに競技に合わせたピリオダイゼーションの考え方についてもう少し踏み込んだ内容をご紹介します!
ピリオダイゼーションの競技シーズンへの適用
実践的には、ピリオダイゼーションプログラムでは、競技シーズンに応じて競技と選手個人の要求を十分に考慮して、トレーニングの強度や量を操作します。
それには短調さや飽きに陥らないように、もしくはそれらを最小限に抑えながら、十分な強度と量を得るためにはトレーニングに定期的な変化が必要となります。
高校、大学、プロの競技の年間スケジュールは、ほとんどがオフシーズン、プレシーズン、インシーズン、ポストシーズンというメゾサイクルから構成されています。オフシーズン
オフシーズンは、ポストシーズンと翌年のシーズンの最初の試合の6週前までの期間を指します。
このシーズンは、準備期のほとんどの期間が当てられ、長期間におよぶ場合にはさらに短い複数のメゾサイクルに分割されます。
このようなケースでは、選手は筋肥大・持久力段階と基礎筋力段階を2サイクル、あるいはそれ以上繰り返すことができ、競技によっては筋力・パワー段階が含まれることもあります。プレシーズン
次のプレシーズンは最初の試合に向かう時期であり、通常、準備期の最終段階と第一移行期に該当します。
インシーズン
試合期、もしくはインシーズンには、選手権大会を含む年間の全試合が含まれます。
ほとんどのスポーツのインシーズンは長期におよび、最も巡洋な試合に向けて複数のメゾサイクルを構成することがあります。
したがって、試合期が12〜16週以上に渡る場合には、トレーニングプログラムのデザイン上の困難が生じます。
その解決策の1つが、最も重要な試合に選手のパフォーマンスをピークに高めるために、試合期を3週間、または4週間の複数のメゾサイクルに分ける方法です。
重要な試合以外では選手のコンディションをピークにしないというわけではなく、最も重要な試合に向けたピーキングの時期は、トレーニングプログラムの強度をとくに高く、量を少なくするように調整します。
また、注程度の強度、少量から中程度のトレーニング量の維持プログラムを実施する方法もあります。ポストシーズン
最終の試合の後、翌年のオフシーズンの前に、ポストシーズン、第二移行期をおき、選手に積極的または相対的な休養を与えます。
さらに、短い積極的休養期は、ポストシーズンだけではなく、マクロサイクルの間にも用いることができます。
各メゾサイクルの後、次のメゾサイクルが始まる前に1週間程度の相対的休養のミクロサイクルを設定することができます。まとめ
前回の記事にはピリオダイゼーションというものについて説明しました。
今回はさらに競技のシーズンの流れに合わせたピリオダイゼーションの考え方について説明しました。
そしてもちろん必ずしもこの方法が適用されるかというとそうでもありません。
あくまでも基礎の考え方でありいかに実際に応用できるかということが重要となります。
ぜひ選手やご自身のパフォーマンスアップにご参考にしてください! -
ピリオダイゼーションとは?
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筋肉・神経系に対するトレーニング効果
こんにちは!
前回、前々回と筋肉のそもそもの仕組みについてご説明してきました!
今回はそれらを踏まえてトレーニングと筋肉、そして神経についてどのように絡んでいるのか説明していきます!レジスタンストレーニング
レジスタンストレーニングは用いる負荷の大きさや、動作様式に応じ、神経-筋系に様々な適応を引き起こします。
それぞれについて細かく説明していきます。神経系の適応
レジスタンストレーニングを開始して初期の間は通常、著しく筋力が増加しますが、筋横断面積の増加は緩やかです。
すなわち、この間には主に筋横断面積あたりの筋力が増加しているのです。
これは、神経系に適応が起こり、中枢神経系およびゴルジ腱反射などによる、筋力発揮の抑制が低減するためと解釈されています。
ある程度トレーニングされている選手などの場合、こうした神経系の適応を引き出すためには高強度(1RMの90%以上)のトレーニングが必要となります。筋肥大
神経系の適応が上限近くに達すると、筋横断面積の増大、すなわち筋肥大が起こるようになります。
筋肥大は、主としてタイプⅡ筋繊維の横断面積の増大によります。
トレーニング条件によっては、筋繊維の損傷とその再戦に伴い、筋繊維数の増加(筋繊維の増殖)も起こることが示唆されていますが、その程度は極めて小さいとされています。
タイプⅠ繊維の太さは、高強度のトレーニングでは変わりませんが、筋肥大を主目的とするトレーニングプロトコルでは若干増大します。
筋繊維の肥大とともに、筋内の結合組織断面積も増大しますが、一般的なトレーニングの場合、その増大の程度は筋繊維横断面積の増大と比例すると考えられています。
筋肥大には、筋内でのタンパク質合成の活性化が必要であります。
この過程には筋繊維が強く活動することのほか、内分泌系が活性化されることも重要となります。代謝的適応
筋繊維が繰り返し活動すると、その活動に有利になるよう、特定のタンパク質の合成が活性化すると考えられます。
レジスタンストレーニングは通常、無酸素性代謝に依存するので、無酸素性代謝に関連した酸素の合成が高まり、筋の無酸素性代謝能力が向上します。
一方、筋肥大のための中〜高強度、大容量のトレーニングを行うと、タイプⅡb繊維では、有酸素性代謝も高まり、徐々にタイプⅡa繊維に向かうサブタイプ移行が起こります。
また、筋繊維内のグリコーゲン量、クレアチンリン酸濃度の増大が起こり、これらも筋繊維の肥大にある程度関与すると考えられています。有酸素性持久力トレーニング
代謝的適応
有酸素性持久力トレーニングに対しては、筋肉は一般的にレジスタンストレーニングの場合と反対の適応を示します。
特に、すべてのタイプの筋繊維で有酸素性代謝に関連した酵素活動が上昇し、有酸素性代謝能力が向上します。
同時に、筋繊維内のミトコンドリア密度の上昇、筋内の毛細血管密度の上昇が起こります。
タイプⅡb繊維はタイプⅡa繊維を経て、最も有酸素性能力の高いタイプⅡc繊維に向かうサブタイプ移行を示します。
動物実験などではさらにタイプⅡcかたタイプⅠへのタイプ変換が起こりうるのですが、ヒトでは同様のことが起こるかは明らかにはなっていません。筋繊維のサイズ
適度な有酸素性持久力トレーニングでは、筋繊維の横断面積には著しい変化は起こりません。
しかし、高強度のトレーニングを長期間行うと、タイプⅠ繊維とタイプⅡc繊維では筋横断面積の減少が起こるとされています。
これは筋繊維が細いほど、酸素や代謝産物の拡散や輸送に都合が良く、そのための適応であると解釈されています。
こうしたことからも筋力やパワーが重要となる競技種目で、レジスタンストレーニングと有酸素性持久力トレーニングを組み合わせて行う際には、注意深いプログラムが必要であることがわかります。まとめ
ただトレーニングや運動をするだけでは、もしかすると理想としていた身体にはならないかもしれません。
どのようか身体になりたいかを描きそれに対して正しいトレーニングの選択が必要だということがわかります。
正しく目的に合ったトレーニングを行えば身体はそれに適応して進化してくれます。
ぜひご参考にしてください!! -
筋力発揮のメカニズム〜なぜ筋肉は動くのか?〜
こんにちは!
前回の投稿で筋肉そもそもについてご説明しました。
今回はそんな筋肉がどのようにして動くのかということを説明していきます!筋活動の調整と興奮-収縮関連
筋繊維内には、エネルギー源であるATPが常にほぼ一定量存在します。
したがって、筋活動をオンにしたりオフにしたりするのはATPの量的変化はなく、ほかの要因にあります。
この役割を果たしているのがカルシウムイオンです。
静止状態では、筋形質内のカルシウムイオン濃度は極めて低く、筋繊維が興奮して活動するときには静止状態の濃度の約100倍にまで増加します。
カルシウムイオンは細いフィラメント上にあるトロポニンに結合し、細いフィラメントの微細構造が変化してミオシン頭部と結合できるようになります。単収縮と強縮
実験場、1個の活動電位を筋繊維に生じさせたときに起こる1回の短い収縮を短収縮と呼びます。
一方繰り返し刺激によって、一連の活動電位を生じさせたときに起こる収縮を強縮と呼びます。
さらに低頻度の活動電位によって起こり、それぞれの短収縮のピークが分離しているものを不完全強縮、高頻度の活動電位によって起こり、張力発揮が滑らかなものを完全強縮と呼びます。
生理的条件下での生体内の筋活動は通常すべて強縮です。筋繊維タイプ
筋繊維は大きく、速筋繊維(FT繊維)と遅筋繊維(ST繊維)とに分類されます。
FT繊維は短収縮は速く、その張力も大きいもの、ST繊維は短収縮が遅く、その張力は小さいものであります。
最大強縮における断面積あたりの張力もFT繊維の方が大きくなります。
一方ST繊維は有酸素性代謝能力が高く、持久力に優れています。繊維内の酸素運搬にかかわるミオグロビンや、ミトコンドリアでのエネルギー産生にかかわるチトクロームなど、赤色の色素タンパク質を多量にもつため、外観上赤みを帯びていることから、赤筋繊維とも呼ばれます。
FT繊維はこれらの色素タンパク質が少なく、白筋繊維とも呼ばれます。
FT繊維とST繊維は特殊な染色法やミオシン分子種の違いによる識別法に基づき、さらに細かくタイプ分けされています。
染色法と力学的特性に基づく一般的な標記法では、遅筋繊維はタイプⅠ繊維、速筋繊維をタイプⅡ繊維と呼びます。
タイプⅡ繊維はさらに、最も収縮速度が速く、持久力に乏しいタイプⅡb繊維と、タイプⅠとタイプⅡとの中間的で、オールマイティーな性質をもつタイプⅡa繊維とに分けられます。運動単位の動員様式
一般にST繊維を支配する運動神経は、その細胞体が小さく、興奮の域値が低く、運動単位に含まれる筋繊維の数も少ないという特徴をもちます。
反対にFT繊維を支配する運動神経は、その細胞体が大きく、興奮の域値が高く、運動単位に含まれる筋繊維の数も多いです。
通常の筋力発揮を行った場合、まずはサイズが小さく、動員域値の低いST繊維の運動単位から優先的に動員され、筋力発揮のレベルの大きなFT繊維の運動単位が付加的に動員されていきます。
これを「サイズの原理」と呼びます。
レジスタンストレーニングにおける筋繊維の動員様式も、基本的には負荷強度の大小に応じ、サイズの原理にしたがって変動します。
一方伸張性筋活動やクイックリフトなどの場合にはサイズの原理に反してFT繊維から優先的に動員されると考えられています。筋活動の様式
筋の主な活動様式には等尺性(アイソメトリック)、等張性(アイソトニック)、等速性(アイソキネティック)の3つがあり、それぞれに対応したトレーニング法があります。
アイソメトリックは筋の長さが一定のもとで張力発揮を行うもの、アイソトニックは張力が一定のもとで短縮・伸張を行うもの、アイソキネティックは短縮・伸張測度が一定のもとで張力発揮を行うものです。
トレーニングの場合にもそれぞれに準じた動作様式に対応してアイソメトリックトレーニング、アイソトニックトレーニング、アイソキネティックトレーニングと呼びます。力と短縮速度
等張力性および等速性筋活動では、張力と短縮速度とは互いに反比例し、双曲線で近似される関係を示します。
これを力-速度関係と呼びます。短縮と伸張
等張力性および等速性筋活動で、筋が張力を発揮しながら短縮する場合を短縮性筋活動(コンセントリックアクション)、逆に張力を発揮しながら強制的に伸張される場合を伸張性筋活動(エキセントリックアクション)と呼びます。
トレーニング動作では前者は負荷を挙上する動作、後者はブレーキをかけながら負荷を下ろす動作に対応します。
一般に、伸張性筋活動は短縮性筋活動に比べ、より大きな筋力発揮が可能であります。
伸張性筋活動ではあた、サイズの原理に反してFT繊維から優先的に動員されると考えられています。
このため、トレーニング全般においては、伸張性筋活動を十分に利用すること、すなわち、負荷を下ろすときにも十分に筋力を発揮することが重要となります。
またやや特殊なトレーニングとして、伸張性筋活動に重点をおいた方法があり、エキセントリックトレーニングとも呼びます。
一方、伸張性筋活動は、筋繊維の微小な損傷を引き起こし、遅発性筋痛を誘発する原因となります。筋力を決める要因
身体が随意的に発揮できる最大筋力を決める要因には筋横断面積、神経系の機能、筋に占めるFT繊維の割合、の3つがあります。
このうちFT繊維の割合は主に遺伝的に決定され、レジスタンストレーニングによって大きくは変化しないので、トレーニングの主目的は筋肥大と神経機能の改善の2点に集約されます。まとめ
今回は筋肉がどのようにして動くのか、またその種類などについて説明しました。
なかなか難しい内容になりますがトレーニングを勉強したい方はぜひ一読ください! -
筋肉とは?〜鍛える前に知ろう!〜
こんにちは!
2021年もスタートし今年もコロナウイルスにたくさん影響を受ける年になりそうですね。。
昨年のリモート化などの変化により注目度が高まったのが「健康」や「運動」などではないでしょうか?運動不足による身体の不調は多くの方が身を染みて感じたと思います。
それだけ運動するということは身体にとって大事なことなのです。今回はそんな運動やそもそも体を動かしている「筋肉」についてご紹介しようと思います。
骨格筋の形態と機能
骨格筋の形態
骨格筋は、筋組織、結合組織、神経、血管からなる器官を指します。
その携帯は特有の階層構造でできています。筋の中で能動的に張力を発揮したり、短縮したりするのは筋繊維であり、通常筋の端から端にまでわたる、直径50〜100μmの細長い細胞でできています。
ここの筋繊維は筋内膜と呼ばれる結合組織の膜でできた「鞘」のような構造に覆われています。
さたに多数の筋繊維が集まって束をつくり、その周囲を筋周膜という結合組性の膜が覆っています。
この筋繊維の束を筋繊維束と呼びます。
筋繊維束と筋繊維束との間の空間には繊維性の結合組織や血管があります。
多数の筋繊維束が集まり、筋外膜という結合組織性の膜に覆われ、筋となります。
筋の両端では筋内膜、筋周膜、筋外膜と連続した結合組織が腱をつくり、腱の結合組織性の膜である骨膜とつながっています。筋繊維の走行方向と筋の特性
骨格筋は、筋繊維の走行方向に基づき、紡錘状筋と羽状筋とに分類されます。
紡錘状筋では、筋繊維が筋の長軸と並行に走行していますが、羽状筋では筋繊維は筋の長軸に対して一定の角度をもって走行していて鳥の羽のような形状をしています。
筋長に対する筋繊維長の割合は、紡錘状筋で大きく、羽状筋では羽状角に応じて小さくなります。
一方筋の体積あたりの力学的に並列な筋繊維数は、羽状筋の方が多くなります。
したがって、横断面積あたりの筋力は羽状筋が大きく、短縮速度は紡錘状筋の方がおおきくなります。
上腕二頭筋などは紡錘状筋であり、外側広筋、腓腹筋などは羽状筋であります。筋繊維の微細構造
筋繊維は、発生の段階で筋芽細胞と呼ばれる細胞が多数融合してできた多核細胞です。
通常核は細胞の表層に配列していますが、トレーニング後には細胞の中心部付近にも見られることがあります。
細胞の内側は筋形質で占められています。
筋形質中には、収縮タンパク質からなる収縮装置、ミトコンドリアや筋小胞体などの細胞器官、グリコーゲン顆粒、脂肪粒、種々のタンパク質などが含まれています。筋原繊維を光学顕微鏡で観察すると、明暗の横紋が見えます。
同様の横紋は心筋にも観察されるので、骨格筋と心筋をあわせて横紋筋と呼びます。
横紋の中で暗く見える見える部分をA帯、明るく見える部分をI帯、A帯とA帯の間で戦場に見える部分をZ膜、またはZ線と呼びます。
2本の隣接するZ線で挟まれた領域を筋節(サルコメア)と呼びます。
横紋構造は、太いフィラメントと細いフィラメントという2種類のフィラメントが規則的に重なり合うように配列しています。
太いフィラメントは約200個のミオシンというタンパク質が規則的に集合し、会合体を形成してできています。
一方細いフィラメントはアクチンという球状のタンパク質が二重らせん常に重合してできています。
太いフィラメント、細いフィラメントはそれぞれ、ミオシンフィラメント、アクチンフィラメントとも呼ばれます。
細いフィラメント上には、アクチン以外に、トロポニン、トロポミオシンというタンパク質があり、筋活動の調整機構に関係しています。
またZ線とZ線の間は、ゴム紐のような弾性を持つタイチンフィラメントが連結しておる、筋繊維を伸張すると、このタイチンフィラメントが引き伸ばされて受動的張力を発生すると考えられています。筋節と滑り説(滑走説)
筋活動によって筋繊維が短縮するときには、A帯の幅は変わらず、隣接するI帯との感覚が狭まります。
このことから、太いフィラメントと細いフィラメントの長さは常に一定であり、これらが互いに滑り合うようにして筋活動が起こると考えられ、このような考え方を滑り説または滑走説と呼びます。
2種のフィラメント間の滑りは、ミオシン頭部がATPを分解しながら、アクチンと結合・解離を繰り返すことによって起こると考えられています。
したがって、収縮張力は筋節の中の太いフィラメントと細いフィラメントのオーバーラップの量に比例して変化する、すなわち、筋節長や筋繊維長に依存して変化することになります。
こうした筋繊維長と張力の関係を長さ-張力関係と呼びます。
筋繊維の長さ-張力関係は、身体内では、関節角度に依存して発揮筋力が変化するような、関節角度-トルク関係を生じる一要因となります。まとめ
たくさんの方が鍛えたい「筋肉」について説明しました。
今回の内容はあくまで筋肉そのものの解説に過ぎません。
その筋肉がどうやって動くのか、動かすことでどうなるのか、そこから筋トレとはどうすべきなのかと考えていくことができます。次回は筋肉がどのようにして動くのかを生理学的に説明していきます!→コチラ