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筋肉・神経系に対するトレーニング効果
こんにちは!
前回、前々回と筋肉のそもそもの仕組みについてご説明してきました!
今回はそれらを踏まえてトレーニングと筋肉、そして神経についてどのように絡んでいるのか説明していきます!レジスタンストレーニング
レジスタンストレーニングは用いる負荷の大きさや、動作様式に応じ、神経-筋系に様々な適応を引き起こします。
それぞれについて細かく説明していきます。神経系の適応
レジスタンストレーニングを開始して初期の間は通常、著しく筋力が増加しますが、筋横断面積の増加は緩やかです。
すなわち、この間には主に筋横断面積あたりの筋力が増加しているのです。
これは、神経系に適応が起こり、中枢神経系およびゴルジ腱反射などによる、筋力発揮の抑制が低減するためと解釈されています。
ある程度トレーニングされている選手などの場合、こうした神経系の適応を引き出すためには高強度(1RMの90%以上)のトレーニングが必要となります。筋肥大
神経系の適応が上限近くに達すると、筋横断面積の増大、すなわち筋肥大が起こるようになります。
筋肥大は、主としてタイプⅡ筋繊維の横断面積の増大によります。
トレーニング条件によっては、筋繊維の損傷とその再戦に伴い、筋繊維数の増加(筋繊維の増殖)も起こることが示唆されていますが、その程度は極めて小さいとされています。
タイプⅠ繊維の太さは、高強度のトレーニングでは変わりませんが、筋肥大を主目的とするトレーニングプロトコルでは若干増大します。
筋繊維の肥大とともに、筋内の結合組織断面積も増大しますが、一般的なトレーニングの場合、その増大の程度は筋繊維横断面積の増大と比例すると考えられています。
筋肥大には、筋内でのタンパク質合成の活性化が必要であります。
この過程には筋繊維が強く活動することのほか、内分泌系が活性化されることも重要となります。代謝的適応
筋繊維が繰り返し活動すると、その活動に有利になるよう、特定のタンパク質の合成が活性化すると考えられます。
レジスタンストレーニングは通常、無酸素性代謝に依存するので、無酸素性代謝に関連した酸素の合成が高まり、筋の無酸素性代謝能力が向上します。
一方、筋肥大のための中〜高強度、大容量のトレーニングを行うと、タイプⅡb繊維では、有酸素性代謝も高まり、徐々にタイプⅡa繊維に向かうサブタイプ移行が起こります。
また、筋繊維内のグリコーゲン量、クレアチンリン酸濃度の増大が起こり、これらも筋繊維の肥大にある程度関与すると考えられています。有酸素性持久力トレーニング
代謝的適応
有酸素性持久力トレーニングに対しては、筋肉は一般的にレジスタンストレーニングの場合と反対の適応を示します。
特に、すべてのタイプの筋繊維で有酸素性代謝に関連した酵素活動が上昇し、有酸素性代謝能力が向上します。
同時に、筋繊維内のミトコンドリア密度の上昇、筋内の毛細血管密度の上昇が起こります。
タイプⅡb繊維はタイプⅡa繊維を経て、最も有酸素性能力の高いタイプⅡc繊維に向かうサブタイプ移行を示します。
動物実験などではさらにタイプⅡcかたタイプⅠへのタイプ変換が起こりうるのですが、ヒトでは同様のことが起こるかは明らかにはなっていません。筋繊維のサイズ
適度な有酸素性持久力トレーニングでは、筋繊維の横断面積には著しい変化は起こりません。
しかし、高強度のトレーニングを長期間行うと、タイプⅠ繊維とタイプⅡc繊維では筋横断面積の減少が起こるとされています。
これは筋繊維が細いほど、酸素や代謝産物の拡散や輸送に都合が良く、そのための適応であると解釈されています。
こうしたことからも筋力やパワーが重要となる競技種目で、レジスタンストレーニングと有酸素性持久力トレーニングを組み合わせて行う際には、注意深いプログラムが必要であることがわかります。まとめ
ただトレーニングや運動をするだけでは、もしかすると理想としていた身体にはならないかもしれません。
どのようか身体になりたいかを描きそれに対して正しいトレーニングの選択が必要だということがわかります。
正しく目的に合ったトレーニングを行えば身体はそれに適応して進化してくれます。
ぜひご参考にしてください!! -
筋力発揮のメカニズム〜なぜ筋肉は動くのか?〜
こんにちは!
前回の投稿で筋肉そもそもについてご説明しました。
今回はそんな筋肉がどのようにして動くのかということを説明していきます!筋活動の調整と興奮-収縮関連
筋繊維内には、エネルギー源であるATPが常にほぼ一定量存在します。
したがって、筋活動をオンにしたりオフにしたりするのはATPの量的変化はなく、ほかの要因にあります。
この役割を果たしているのがカルシウムイオンです。
静止状態では、筋形質内のカルシウムイオン濃度は極めて低く、筋繊維が興奮して活動するときには静止状態の濃度の約100倍にまで増加します。
カルシウムイオンは細いフィラメント上にあるトロポニンに結合し、細いフィラメントの微細構造が変化してミオシン頭部と結合できるようになります。単収縮と強縮
実験場、1個の活動電位を筋繊維に生じさせたときに起こる1回の短い収縮を短収縮と呼びます。
一方繰り返し刺激によって、一連の活動電位を生じさせたときに起こる収縮を強縮と呼びます。
さらに低頻度の活動電位によって起こり、それぞれの短収縮のピークが分離しているものを不完全強縮、高頻度の活動電位によって起こり、張力発揮が滑らかなものを完全強縮と呼びます。
生理的条件下での生体内の筋活動は通常すべて強縮です。筋繊維タイプ
筋繊維は大きく、速筋繊維(FT繊維)と遅筋繊維(ST繊維)とに分類されます。
FT繊維は短収縮は速く、その張力も大きいもの、ST繊維は短収縮が遅く、その張力は小さいものであります。
最大強縮における断面積あたりの張力もFT繊維の方が大きくなります。
一方ST繊維は有酸素性代謝能力が高く、持久力に優れています。繊維内の酸素運搬にかかわるミオグロビンや、ミトコンドリアでのエネルギー産生にかかわるチトクロームなど、赤色の色素タンパク質を多量にもつため、外観上赤みを帯びていることから、赤筋繊維とも呼ばれます。
FT繊維はこれらの色素タンパク質が少なく、白筋繊維とも呼ばれます。
FT繊維とST繊維は特殊な染色法やミオシン分子種の違いによる識別法に基づき、さらに細かくタイプ分けされています。
染色法と力学的特性に基づく一般的な標記法では、遅筋繊維はタイプⅠ繊維、速筋繊維をタイプⅡ繊維と呼びます。
タイプⅡ繊維はさらに、最も収縮速度が速く、持久力に乏しいタイプⅡb繊維と、タイプⅠとタイプⅡとの中間的で、オールマイティーな性質をもつタイプⅡa繊維とに分けられます。運動単位の動員様式
一般にST繊維を支配する運動神経は、その細胞体が小さく、興奮の域値が低く、運動単位に含まれる筋繊維の数も少ないという特徴をもちます。
反対にFT繊維を支配する運動神経は、その細胞体が大きく、興奮の域値が高く、運動単位に含まれる筋繊維の数も多いです。
通常の筋力発揮を行った場合、まずはサイズが小さく、動員域値の低いST繊維の運動単位から優先的に動員され、筋力発揮のレベルの大きなFT繊維の運動単位が付加的に動員されていきます。
これを「サイズの原理」と呼びます。
レジスタンストレーニングにおける筋繊維の動員様式も、基本的には負荷強度の大小に応じ、サイズの原理にしたがって変動します。
一方伸張性筋活動やクイックリフトなどの場合にはサイズの原理に反してFT繊維から優先的に動員されると考えられています。筋活動の様式
筋の主な活動様式には等尺性(アイソメトリック)、等張性(アイソトニック)、等速性(アイソキネティック)の3つがあり、それぞれに対応したトレーニング法があります。
アイソメトリックは筋の長さが一定のもとで張力発揮を行うもの、アイソトニックは張力が一定のもとで短縮・伸張を行うもの、アイソキネティックは短縮・伸張測度が一定のもとで張力発揮を行うものです。
トレーニングの場合にもそれぞれに準じた動作様式に対応してアイソメトリックトレーニング、アイソトニックトレーニング、アイソキネティックトレーニングと呼びます。力と短縮速度
等張力性および等速性筋活動では、張力と短縮速度とは互いに反比例し、双曲線で近似される関係を示します。
これを力-速度関係と呼びます。短縮と伸張
等張力性および等速性筋活動で、筋が張力を発揮しながら短縮する場合を短縮性筋活動(コンセントリックアクション)、逆に張力を発揮しながら強制的に伸張される場合を伸張性筋活動(エキセントリックアクション)と呼びます。
トレーニング動作では前者は負荷を挙上する動作、後者はブレーキをかけながら負荷を下ろす動作に対応します。
一般に、伸張性筋活動は短縮性筋活動に比べ、より大きな筋力発揮が可能であります。
伸張性筋活動ではあた、サイズの原理に反してFT繊維から優先的に動員されると考えられています。
このため、トレーニング全般においては、伸張性筋活動を十分に利用すること、すなわち、負荷を下ろすときにも十分に筋力を発揮することが重要となります。
またやや特殊なトレーニングとして、伸張性筋活動に重点をおいた方法があり、エキセントリックトレーニングとも呼びます。
一方、伸張性筋活動は、筋繊維の微小な損傷を引き起こし、遅発性筋痛を誘発する原因となります。筋力を決める要因
身体が随意的に発揮できる最大筋力を決める要因には筋横断面積、神経系の機能、筋に占めるFT繊維の割合、の3つがあります。
このうちFT繊維の割合は主に遺伝的に決定され、レジスタンストレーニングによって大きくは変化しないので、トレーニングの主目的は筋肥大と神経機能の改善の2点に集約されます。まとめ
今回は筋肉がどのようにして動くのか、またその種類などについて説明しました。
なかなか難しい内容になりますがトレーニングを勉強したい方はぜひ一読ください! -
筋肉とは?〜鍛える前に知ろう!〜
こんにちは!
2021年もスタートし今年もコロナウイルスにたくさん影響を受ける年になりそうですね。。
昨年のリモート化などの変化により注目度が高まったのが「健康」や「運動」などではないでしょうか?運動不足による身体の不調は多くの方が身を染みて感じたと思います。
それだけ運動するということは身体にとって大事なことなのです。今回はそんな運動やそもそも体を動かしている「筋肉」についてご紹介しようと思います。
骨格筋の形態と機能
骨格筋の形態
骨格筋は、筋組織、結合組織、神経、血管からなる器官を指します。
その携帯は特有の階層構造でできています。筋の中で能動的に張力を発揮したり、短縮したりするのは筋繊維であり、通常筋の端から端にまでわたる、直径50〜100μmの細長い細胞でできています。
ここの筋繊維は筋内膜と呼ばれる結合組織の膜でできた「鞘」のような構造に覆われています。
さたに多数の筋繊維が集まって束をつくり、その周囲を筋周膜という結合組性の膜が覆っています。
この筋繊維の束を筋繊維束と呼びます。
筋繊維束と筋繊維束との間の空間には繊維性の結合組織や血管があります。
多数の筋繊維束が集まり、筋外膜という結合組織性の膜に覆われ、筋となります。
筋の両端では筋内膜、筋周膜、筋外膜と連続した結合組織が腱をつくり、腱の結合組織性の膜である骨膜とつながっています。筋繊維の走行方向と筋の特性
骨格筋は、筋繊維の走行方向に基づき、紡錘状筋と羽状筋とに分類されます。
紡錘状筋では、筋繊維が筋の長軸と並行に走行していますが、羽状筋では筋繊維は筋の長軸に対して一定の角度をもって走行していて鳥の羽のような形状をしています。
筋長に対する筋繊維長の割合は、紡錘状筋で大きく、羽状筋では羽状角に応じて小さくなります。
一方筋の体積あたりの力学的に並列な筋繊維数は、羽状筋の方が多くなります。
したがって、横断面積あたりの筋力は羽状筋が大きく、短縮速度は紡錘状筋の方がおおきくなります。
上腕二頭筋などは紡錘状筋であり、外側広筋、腓腹筋などは羽状筋であります。筋繊維の微細構造
筋繊維は、発生の段階で筋芽細胞と呼ばれる細胞が多数融合してできた多核細胞です。
通常核は細胞の表層に配列していますが、トレーニング後には細胞の中心部付近にも見られることがあります。
細胞の内側は筋形質で占められています。
筋形質中には、収縮タンパク質からなる収縮装置、ミトコンドリアや筋小胞体などの細胞器官、グリコーゲン顆粒、脂肪粒、種々のタンパク質などが含まれています。筋原繊維を光学顕微鏡で観察すると、明暗の横紋が見えます。
同様の横紋は心筋にも観察されるので、骨格筋と心筋をあわせて横紋筋と呼びます。
横紋の中で暗く見える見える部分をA帯、明るく見える部分をI帯、A帯とA帯の間で戦場に見える部分をZ膜、またはZ線と呼びます。
2本の隣接するZ線で挟まれた領域を筋節(サルコメア)と呼びます。
横紋構造は、太いフィラメントと細いフィラメントという2種類のフィラメントが規則的に重なり合うように配列しています。
太いフィラメントは約200個のミオシンというタンパク質が規則的に集合し、会合体を形成してできています。
一方細いフィラメントはアクチンという球状のタンパク質が二重らせん常に重合してできています。
太いフィラメント、細いフィラメントはそれぞれ、ミオシンフィラメント、アクチンフィラメントとも呼ばれます。
細いフィラメント上には、アクチン以外に、トロポニン、トロポミオシンというタンパク質があり、筋活動の調整機構に関係しています。
またZ線とZ線の間は、ゴム紐のような弾性を持つタイチンフィラメントが連結しておる、筋繊維を伸張すると、このタイチンフィラメントが引き伸ばされて受動的張力を発生すると考えられています。筋節と滑り説(滑走説)
筋活動によって筋繊維が短縮するときには、A帯の幅は変わらず、隣接するI帯との感覚が狭まります。
このことから、太いフィラメントと細いフィラメントの長さは常に一定であり、これらが互いに滑り合うようにして筋活動が起こると考えられ、このような考え方を滑り説または滑走説と呼びます。
2種のフィラメント間の滑りは、ミオシン頭部がATPを分解しながら、アクチンと結合・解離を繰り返すことによって起こると考えられています。
したがって、収縮張力は筋節の中の太いフィラメントと細いフィラメントのオーバーラップの量に比例して変化する、すなわち、筋節長や筋繊維長に依存して変化することになります。
こうした筋繊維長と張力の関係を長さ-張力関係と呼びます。
筋繊維の長さ-張力関係は、身体内では、関節角度に依存して発揮筋力が変化するような、関節角度-トルク関係を生じる一要因となります。まとめ
たくさんの方が鍛えたい「筋肉」について説明しました。
今回の内容はあくまで筋肉そのものの解説に過ぎません。
その筋肉がどうやって動くのか、動かすことでどうなるのか、そこから筋トレとはどうすべきなのかと考えていくことができます。次回は筋肉がどのようにして動くのかを生理学的に説明していきます!→コチラ